はじめに

いつもライフデザインのブログをお読み頂きありがとうございます。子育て世代の方々のご相談を聞いていると、当面は教育費や住宅ローンが切実な課題ですが、将来にも漠然とした不安を持っている方が少なくなりません。この世代の方々がゆとりある老後を暮らすためのポイントは、年金の繰り下げとiDeCoを組み合わせることです。今回は、この方法を詳しく解説します。

老後の費用はどのくらいのお金が必要か?ゆとりある老後の費用は?

このブログでも紹介しましたが、老後の費用はどのくらい必要なのでしょうか。また、ゆとりある老後をおくるためにはどうでしょうか・・「老後はいくら必要?・・どうやって準備すればいいの?」

平均的な生活のお金は:約27万円/月、介護の費用:550万円

総務省の「家計調査報告」2017年」によると、60歳以上のご夫婦の世帯収支の実績(生活費)として以下の表のとおりとなっています。ここでの、実収入はほぼ年金額です。

項目 金額
実収入 209,198円
消費支出 235,477円
非消費支出 28,240円
可処分所得 180,958円
差額 ー54,519円

また、介護の費用は、生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」30年度」によると、

項目 金額
一時的な費用 70万円
ひと月に必要な費用 8万円
平均介護期間 5年間

まとめてみますと、平均的な生活:約27万円/月、介護の費用:550万円となります。

ゆとりある老後はどのくらいお金が必要か?・・35万円/月

公益財団法人の生命保険文化センターが「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」を公開していますが・・夫婦2人で経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用である「ゆとりある老後生活費」の平均は月額で「34.9万円」というものです。
「30~35万円未満」という回答が21.8%で一番多いのですが、「50万円以上」という人も13.5%います。

老後の平均的な年金額は・・月額 国年5.5万円、厚年14.8万円

厚生労働省が公開している「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」という報告書によると、国民年金支給額の平均が55,464円厚生年金支給額の平均が147,927円となっています。

ご夫婦だけの世帯だと、国年5.5万円×2人分、14.8万円で月額25.8万円となり、ゆとりある生活に必要な月額35万円には9.2万円不足し、年間だと110.4万円不足します。

ゆとりある生活をする場合は、90歳までを対象期間とすると、2760万円が65歳時点で必要になります。

iDeCoのメリット・デメリットと望める平均利回りは?

iDeCoにはメリット・デメリットがありますのでよく自分の置かれている状況を見極めて、行うことが大切です。また、一般的に望める平均利回りはどのくらいでしょうか?

iDeCoも資産運用!そのメリット、デメリットは

資産運用のメリットは、何といっても資金が銀行に置いておくより増える可能性があることです。手順としては、資金を3つ(余裕資金、使う予定がある資金、生活資金)に区分して余裕資金で、到達目標を決めて、リスクの許容度に応じて金融商品を選ぶのが一般的です。

資産運用のデメリットは、投資した元金を割り込むことがあることです。多分、ほとんどの場合は割り込むと考えておいてよいと思います。そして、必ず投資した金額より増える確証がないことです。

望める平均利回りは3~4%

それでは、投資した資金が元金を割り込むことがあっても、なぜ、資産運用するのでしょうか?それは、大体、3~4%の利回りが期待できるからです。これは、世界経済の成長と関係があります世界経済は平均すると、3~4%の割合で成長していおり、この世界経済全体に投資が可能であれば、成長に見合った利回りが期待できるからです。

*iDeCo、NISA,つみたてNISA制度は・・

iDeCoは掛け金が全額所得控除となる点が、NISAとは大きく違う点!

老後の繰り下げ年金って

年金の「繰り上げ」と「繰り下げ」とは・・現在の年金制度は、「65歳」から受け取り始めることが基本となっています。しかし、自分が申請することで、受け取りの開始を「60歳」から「70歳」の範囲で、指定することができます。

そして、65歳より前に受け取る「繰り上げ」をすると年金が減らされ、65歳より後に「繰り下げ」をすると年金が増えます。

繰り下げをして70歳から受け取ると、年金の金額が42%も増える

「繰り下げ」の最大のメリットは、受け取る年金の金額が増えることです。

1年待つと「8.4%」増加⇒年利8.4%の利回りです。

年金を5年待てば⇒「42%」も増えます。それも生きている間、ずーっとです。

普通預金はもとより、リスクのある投資信託と比べても、ずっと大きな利率です。年金支給額が20万円だとすれば、5年繰り下げをすると「28万4千円」になるのです。

繰り下げを行うには、65歳~70歳の間、厚生年金だけでは生活が難しいので、働く必要があり、健康であることが必要となります。

年金の繰り下げで注意すべきことは・・繰り下げは国民年金で

年金の繰り下げで注意すべきことは、厚生年金の繰り下げはメリットが少ない!ことです。

①加給年金 (注)や振替加算が支給されない②「在職老齢年金」で減らされた分は、繰り下げても戻らない。というもので、この「加給年金」と「在職老齢年金」の2つは厚生年金に係わるものです。また、「振替加算」は国民年金に関するものですが、それほど多くない金額です。昭和41年4月1日以降生まれの人で、年間1.5万円程度で繰り越しにより増加率よりはるかに小さいですよね。

(注)加給年金とは、老齢厚生年金を貰えるようになった時点で、その人によって生計が維持されている配偶者または子がいれば、年金額が増える制度です。年額は、次のようになり、繰り下げるとこの金額が貰えなく可能性があります。
「配偶者」 224,300円(特別加算後は389,800円)
「子」(第2子まで) 224,300円
「子」(第3子以降) 74,800円

国民年金だけを繰り下げることがお得です。

ゆとりある老後の資金はiDeCoと国民年金の繰り下げで準備

ゆとりある生活を行うには先ほどの計算では65歳の時に2760万円が必要になります。この不足分を補う方法を「繰り下げ年金」と「iDeCo」で準備することを考えてみます。

老後の不足するお金の一部を繰り下げ年金でカバーする

①まずは、国民年金の繰り下げでカバー

65歳から貰える国民年金だけを70歳に繰り下げると、ご夫婦お二人で、156万円(満額)が221.5万円になり、増加は65.5万円になります。

90歳までだと、約1300万円のプラスになります。

②iDeCoでカバー

iDeCoでカバーする分は1460万円(2760万-1300万(年金準備額))となります。この金額を準備するには、

iDeCoのサラーリマン掛け金の満額23000円30年間(35歳~65歳3%で運用すると考える約1340万円そして、税の還付が合計165万円あるので、運用益と税の還付で何と!約1500万円となります。

年金の繰り下げ約1300万円とiDeCoの運用&税の還付で約1500万円、合計2800万円を準備可能(ゆとりの老後を過ごすには平均的には65の時点で2760万円必要)

まとめ

老後の資金作りは、国民年金の繰り下げとiDeCoで準備することで、無理なくできそうですね。ここでのポインとは2つです。ひとつは国民年金だけを繰り下げること、2つめはiDeCoの税の還付の恩恵を最大限に生かすことです。ぜひとも、このブログを参考して豊かで余裕のある人生を歩んで頂けることを願っております。

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