はじめに
いつもFPオフィス・ライフデザインのブログをお読み頂きありがとうございます。確定申告で比較的簡単に還付金を得ることが出来る医療費控除について詳しく解説します。
確定申告して節税できる代表例は
皆さんが良く耳にするのは、ローンを組んで自宅を購入したり、リフォームしたりした時の「住宅ローン控除」、地震や台風・集中豪雨などで被災した時に適用される「雑損控除」などありますが、身近な存在で申告しやすいのが「医療費控除」だと思います。
医療費控除について
毎年、申告している方も多いと思いますが、「医療費控除」についてざっくり説明すると、1年間に医療費を一定以上(後述)払った人に適用され、一定の金額が前年度の所得から控除され、還付金がもらえます。また、前年の所得が減るので、今年の住民税も節税できます。
具体的には、1年間の医療費合計額から、高額療養費や生命保険の保険金などの補填された金額を差し引いた金額が、①10万円を超えた場合、または②総所得が200万円未満の人は「総所得×5%」を超えた場合に、オーバーした分が医療費控除の対象(控除限度額は200万円)となり、申告すると、控除対象額に所得税率を掛けた金額が還付金として指定した口座に振り込まれます。
(例)所得500万円の人が年間で20万円の医療費を払ったとします。控除対象額は10万円をオーバーした10万円分となり、これに所得税率20%、住民税10%とすると、2万円が還付され、1万円の住民税の減税となります。(復興特別所得税を除いて計算)。
対象の医療費は?
医療費控除の申告で困るのは、どこまでが「医療費」なのかということです。ざっくり言うと、治療はOK、予防&美容はダメで覚えておくと分かり易いでしょう。
具体的には①病院での診療費、治療費②入院時の入院費、食事代③妊娠や出産の際の定期検診代、出産費用④医師の処方箋を元に購入した医薬品代⑤治療に必要な医療器具の購入費⑥通院にかかった交通費⑦歯科の治療費⑧治療のためのリハビリ費用⑨介護保険の対象となる介護費などです。入院費の室料の差額については、治療のために必要な場合に限るなど制限があります。
また、判断が難しいのは人間ドック代やマッサージ代、歯科矯正代などで、人間ドックは異常が発見され、その後に治療を受けているならOK。異常なしの場合は一般的な健康診断、予防接種と同様に対象となりません。
マッサージ代も医師からの勧めのもとで腰痛などの治療に通っているなら対象となりますが、疲労回復などのためだと対象になりません。歯科矯正も子供は対象となりますが、大人は美容目的と思われる場合は対象となりません。などなど色々とありますので、詳しくは国税庁の以下のHPから確認して下さい。
国税庁:医療費控除の対象となる医療費
医療費控除で節税を!・・勘違いはこれだ!
ここでは、勘違いしやすい内容を纏めてみましたので、参考にして下さい。
①同居していないと対象にならない・・勘違い!
対象は自分と「生計を一にしている」人で、同居の親族より対象が広くなっています。国税庁のHPでは「日常の生活の資を共にすることをいいます。会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。」となっています。ということなので、同居の家族の分も含めて、さらには下宿している子どもや仕送りしている親の分もまとめて申告できることになります。
②医療費が10万円以上じゃないと還付金がもらえない・・勘違い!
医療費が10万円以下でも収入の少ない人が申告すると、還付金がもらえる可能性があります。一家に働いている人が複数いる場合は、誰が申告しても構わないのですが、一般的には収入が多い人が申告する方が、税率が高い分、還付金が多くなります。ただし、控除すべき医療費が少ない場合は、夫の所得が500万円、妻の所得が100万円だとすると、妻が申告すれば、10万円超の基準が5万円(総所得100万円×5%)まで下がり、家族の医療費の合計が5万円を超えると還付金(奥さんの税率×5万円を超えた金額)が貰えます。
③保険適用の医療費じゃないと対象とならない・・勘違い!
医療費控除の医療費を保険の適用診療しか対象じゃないと勘違いされている方が多くいます。その中でも比較的大きく費用が掛かるのがインプラントやセラミック義歯、不妊治療、先進医療などです。
④介護費用は医療費控除の対象じゃない・・勘違い!
介護費用でも医療費控除の対象となる場合があります。介護保険制度下での居宅サービス等の費用は医療費控除の対象になる場合がありますし、特別養護老人ホームに入居の場合は、施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)として支払った額の2分の1に相当する金額、また、介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設、介護医療院の場合は施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)として支払った額は医療費控除の対象となります。
まとめ
確定申告で節税を図る際に、身近な存在で申告しやすい「医療費控除」について見て来ました。特に、判断に困る控除可能な医療費とは何か、制度上の勘違いしやすい点についてお話してきました。皆さん、是非とも賢く節税して、還付金を使って家族でお食事などに行って楽しい思い出を作って下さいね。
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